『時間は存在しない』ベストセラー本を解説

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時間



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イタリアの理論物理学者であるカルロ・ロヴェッリが2018年に発表した『時間は存在しない』を解説したYouTube動画が紹介されている。この本のメインテーマは、時間には順序がなく、過去も未来も物理学的には区別がないということである。また、時間の流れは均一ではなく、時間には方向がなく、ニュートンの力学的世界の法則も過去と未来を区別することはできない。量子力学の視点から、この世界は出来事のネットワークであることがわかった。この本の特徴は、数式が登場しないことであり、詩や哲学からの引用が多く、理系の知識がない読者でもわかりやすく解説している点である。


時間の流れの不均一性

  • 時間の流れは山や低地など場所によって異なり、均一ではない。
  • アインシュタインは、時間の流れは均一ではないことを発見した。


アインシュタインは、1905年に特殊相対性理論を提唱し、時間と空間の相対性を示した。そして、1915年に一般相対性理論を発表し、重力場と物体の運動と時間の流れを結びつけた。一般相対性理論により、時間は重力場の影響を受け、流れる速さが変化することが明らかになった。例えば、地球の表面と宇宙空間では重力場の強さが異なるため、時間の流れる速さが異なることが観測されている。また、極端な場合として、ブラックホールに近づくと時間の流れが完全に止まることが予測されている。

時間の方向性のなさ

  • 過去と未来を区別するものは物理法則のどこにも存在しない。
  • ニュートンの力学的世界の法則も、過去と未来を区別することはできない。

過去と未来を区別するものは物理法則のどこにも存在しないという主張については、物理学者たちによって議論されています。

一般的に、物理学の法則は時間に依存するものであり、時間の流れを表すパラメータが含まれていますが、これは単に時間の進行を表しているだけで、過去と未来を区別するものではありません。物理学の法則が時間を扱うため、時間の流れやその影響を解明することができることは確かですが、物理法則自体が過去と未来を区別するものではありません。

ニュートンの力学的世界の法則についても同様です。ニュートンの法則は、運動する物体の速度と加速度を説明するものであり、時間の流れに関する情報は含まれていますが、過去と未来を区別するものではありません。したがって、ニュートンの力学的世界の法則を過去と未来を区別するためのものと考えることはできません。

量子力学の視点から

  • 量子力学の発見により、この世界は出来事のネットワークであることがわかった。
  • 時間を連続的なものではなく、粒状のものとして扱うことができる。
  • 最少の時間は「プランク時間」と呼ばれる、1秒の一億分の一の10億分の1の10億分の1の10億分の1である。

量子力学による発見により、この世界は出来事のネットワークであることが分かりました。具体的には、物理現象が原子やその他の微小な粒子の相互作用によって生成されることが示されました。また、時間を連続的なものではなく、粒状のものとして扱うことができることが分かっています。このようなアプローチにより、過去と未来を区別する物理法則がないという考えが生まれました。

さらに、最小の時間は「プランク時間」と呼ばれ、1秒の一億分の一の10億分の1の10億分の1の10億分の1であることが分かっています。これは非常に小さな時間であり、私たちが普段感じることができる時間のスケールとは全く異なります。これは、物理学における時間の単位として用いられることがあります。

ニュートンの力学的世界の法則については、時間の流れは均一であり、過去と未来を区別することができません。一方、量子力学による発見により、物理法則は粒状であり、時間は連続的なものではないことが分かっています。つまり、量子力学においては、過去と未来を区別する物理法則は存在しないという考えが生まれたのです。

【参考文献】

[1] https://www.sciencedirect.com/topics/physics-and-astronomy/quantum-mechanics
[2] https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF%E6%99%82%E9%96%93
[3] https://kotobank.jp/word/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AF%E6%99%82%E9%96%93-153475

本書の特徴

  • 本書には数式が登場せず、詩や哲学からの引用が多く、理系の知識がない読者でもわかりやすく解説している。
  • 出来事のネットワークであるという考え方は、仏教の世界感に通じるものがあると感じられる。

物理学について、出来事のネットワークという考え方は、量子力学の発見によって明らかにされました。また、時間の連続性についても、量子力学では粒状のものとして扱うことができます。さらに、最少の時間はプランク時間と呼ばれ、非常に短い時間単位であることが知られています。

一方で、この本では数式の登場がなく、詩や哲学からの引用が多用されています。それによって、物理学についての理系的な知識がない人でも理解しやすくなっているとされています。

また、出来事のネットワークという考え方には、仏教の世界観に通じるものがあるとも言われています。仏教では、あらゆる存在が相互に依存し合っているという考え方があり、それが物理学の出来事のネットワークと似通っていると考えられるためです。

まとめ

  • 時間には順序も方向性もなく、この世界は出来事の集まりである。
  • 本書は、物理学者以外の人々にも大きな影響を与えている、非常に興味深い内容を持つ書籍である。


「時間には順序も方向性もなく、この世界は出来事の集まりである。」に関しては、量子力学においては時間に順序や方向性は存在しないとする考え方があります。これは、物理学において時間を絶対的なものとして捉えることができず、相対性理論によって時間の流れが場所や速度によって異なることが明らかになったことから導かれるものです。そして、量子力学においては、粒子が過去と未来の両方の状態に存在できることが示されています。このように、時間が相対的なものとして考えられることから、時間に順序や方向性はないとする考え方が生まれました。

また、「本書は、物理学者以外の人々にも大きな影響を与えている、非常に興味深い内容を持つ書籍である。」については、量子力学における物理学的な解釈について、哲学や文学といった分野との関連が深く、多くの人々に興味を持たれています。例えば、本書の著者であるジム・ホルトは、哲学や文学にも造詣が深いジャーナリストであり、物理学的な解釈について、幅広い視野からのアプローチを試みています。そのため、物理学者以外の人々にも理解しやすいように、数式を用いずに詩や哲学からの引用を多く取り入れ、解説しているという特徴があります。そのため、物理学に関心がない人でも、興味深い内容を楽しめる書籍として知られています。